Hands -EPISODE 2 05-
玉座には、顎を上げて笑っているセフィムの姿があった。
「ウィムス、久しぶりだなぁ。どうだい? ユウタとなってきた気分は」
「あぁ、いい気分だったよ。お前の妃は俺に惚れたからな」
俺とセフィムはしばらくにらみ合っていた。セフィムは生意気に玉座に座り、俺を見下ろしていた。
「それももう終わった。ミナはわたしのところへ戻ってきたのだ。」
「そうは思わないね、彼女は、人間の言葉なら”ユウカイ”されているんだ」
俺は立ち上がり、玉座へと向かって歩き出した。それをセフィムは表情変えずに待っていた。
「ここでも、あっちでも、ミナは俺に惚れた。お前は情けをかけられているだけさ。ただの、彼女の下僕だ!」
「……それでも、お前は二度も俺様に奪われているではないか。運命のイトは、結局俺様の味方になる」
「黙れ!! もう、そんなことどうでもいい!! 俺は、俺は貴様にトドメを刺しにここへ来たのだ、もう元に戻る事は出来ない。俺は命をかけて貴様を殺す!」
「命を捨てる覚悟があるのなら、俺様の所に来い。ここは死のうが姉妹が、関係のない者達が集まっているのだ。この俺だってそうさ。お前が俺様を殺しても、次にココに座るものはもっと強力な敵になるだろう。そのときはどうするのだ? また命をかけて戦うか? お前のような奴になど、神はいくつも命はくれないぞ」
「セフィム様、もういいではないですか。彼がかわいそうですよ」
俺の耳はついにおかしくなったようだ。あんなにけな気な声が、今は鋭く尖った調子に犯されて、俺に向けられた情けすら感じられた。
「ミナ。」
セフィムが彼女をよび、自分の元に引き寄せると濃厚なキスを”俺の目の前で”交わした。
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