「Black Time FantasiaV 」




 メルサ ♀:24歳。エルフの娘、気が強いが人想いなやさしい性格。

 シュラン♂:27歳。エルフの男、メルサとともに旅をしている。穏やかだが時に冷酷。

 スラセオ♂:エルフ族の族長。何に対しても容赦はない。

アドル♂or♀:12歳。不思議な本を見つける。性別は男だが、声が高いので両。軍兵と被りで。




配役表 1:2
メルサ♀:
シュラン♂:
スラセオ♂:


 メルサ:人間は嫌いじゃない。たくさんあるさ、いいところが。
    でも、どうして……? 彼らが間違いを犯すと、とてつもなく哀しくなってしまう。
    お願い……もう、やめてよ。

――――

 アドル:大変だ…っ!! 俺は…なんて、ことを…っ!

――――

 アドル:(大人口調に)
     「BLACK TIME FANTASIAV」
     幼き頃、俺がもちだした本が燃えたのは、俺が悪いと思っていたのに。

――――

 メルサ:……うぅ……

シュラン:起きた?

 メルサ:…シュラン? 

シュラン:ごめんな。お腹痛くないか?

 メルサ:……大丈夫。

シュラン:良かった。

 メルサ:……

シュラン:もう少しで砂漠に出る。今のうちにゆっくりしていたほうがいい。

 メルサ:ご……ごめん、ね。わたし…また……

シュラン:もういいよ。気にするな。

 メルサ:わたし……わたしっ……うぅ……

シュラン:もういいよ…泣くなよ…。

 メルサ:うっ………うぅっ…

シュラン:君はもう何もしなくていい。俺が、俺が君を守っていくから…

 メルサ:……シュラ、ン…

シュラン:こうして、君のことずっと抱きしめていてあげるから……

 メルサ:うん……

――――

 アドル:ハァ、ハァ…っく……ハァ…ハァー…。

スラセオ:逃げても無駄だ!

 アドル:うっ……く、くっそぉおお!!

スラセオ:時が来た、封を解く書よ、砕け散れ!!

 アドル:ほ、本が…っ!! 眩しいっ……!!

――――

 メルサ:……本?

シュラン:え?

 メルサ:いま、何か……光った…

シュラン:いいや、なにも…

 メルサ:そう?

シュラン:うん

――――

スラセオ:くそ……砕けろ……オノレェエエ!!
    それでもエルフの力をもったモノがぁ!!

 アドル:うわぁあああ!!!

スラセオ:ハァ……ハァ……ゴルヴァン……お前は……つくづく…

――――

 メルサ:……やっぱり、何か…なにかあるわ

シュラン:メルサ?! どこへいくんだ

 メルサ:なに? なんなの?!

シュラン:メルサ!

 メルサ:この辺なのに……本? いったい…
    砕け散るって…どういう……

シュラン:メルサ…?

 メルサ:……あった…まだ、残っている…

シュラン:なんだ? ソレ

 メルサ:羊皮紙だわ…これは、エルフが使っているのと同じ……

シュラン:なら変だ、俺たちのは決して破けない。

 メルサ:どうしてこんなに破れているのかしら……

シュラン:変だな……

 メルサ:村にまだ書庫は残っているはずよ。それで調べてみる。

シュラン:そうだな。

 メルサ:嫌な予感がする……

――――


スラセオ:『再び顔を合わせたとき。いま、そのときだ。』


スラセオ:『きっと…お主らはもうこの地へは
      戻ることはできぬだろう。』

スラセオ:『お主らが西の国へ足を入れた時には
      もうここはもぬけの殻となっているだろう。』

――――

 メルサ:……あぁ…

シュラン:メルサ…?

 メルサ:シュラン、もうこの森を出よう?

シュラン:え?

 メルサ:争いが始まってしまう…
     きっと…きっとこの森も飲み込まれてしまう

シュラン:でも…

 メルサ:すぐにでも…出たい。シュラン! 早く!!

シュラン:……あぁ、そうみたいだな…。
    遠くで地響きが聞こえる…